南部地区
天竜川下流の平野に開けた、海寄りの暮らし・農地・集落・交通が重なる地区。豊島・鮫島・岡田・長須賀など、川がつくり、川が流した土地の記憶を伝えます。
南部は、天竜川がつくった低地と、遠州灘に近い砂丘地が広がる町です。長野村や南御厨村の一部など、天竜川下流域の旧村が昭和30年に磐田市へ編入されてできた区域で、伝僧川の治水や宝珠寺の枯山水庭園、蓑笠騒動を伝える義民蓑笠碑など、川と人が向き合ってきた記憶が残ります。豊島・北島・千手堂・鮫島・浜部・新島・長須賀といった「島」のつく地名が、水とともにある土地の性格を物語ります。このページは、その南部の記憶をたどるための入口です。まずは三つの扉から、どうぞ。
はじめて南部を読む方へ ── 三つの入口
池田・掛塚と渡しの記憶。天竜川の河道の移り変わりが村にもたらした歴史を読み解く。
遠州灘の塩害に抗い塩を産み出した塩田開発と、生活を支えた沿岸漁業の歩み。
多様な個性を持つ11の集落が一つにまとまった長野村。学校や産業組合を通じた近代化の軌跡。
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| No. | タイトル | テーマ | 概要 | 公開日 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 天竜川がつくった村、流した村 ── 池田・掛塚と渡しの記憶 | 沿革/交通/記憶 | 天竜川下流の氾濫が村落を生み・流し・移動させた歴史を、渡河・水運・開発の三類型と… | |
| 2 | 川の恵みと怖さ ── 天竜地区の水辺の生活史 | 沿革/暮らし/記憶 | 天竜地区(南部低地)の水辺の生活史を、旧河道・自然堤防・後背湿地の地形単位から再… | |
| 3 | 於保と大池 ── 南部低地の水と村 | 沿革/暮らし/記憶 | 南部の於保地区と大池を手がかりに、低地・農地・水がつくった南の集落の成立・生業を… | |
| 4 | 大島の鰐口 ── 南北朝期の信仰と水辺の集落 | 沿革/社寺/記憶 | 大島の低地に伝わる南北朝期の鰐口(県指定)を手がかりに、中世の信仰と水辺の集落を… | |
| 5 | 八王子神社の米とぎまつり ── 南部低地の稲作儀礼 | 社寺/祭り/暮らし | 八王子神社の米とぎまつり(米をとぐ所作の祭礼)と南部低地の稲作儀礼を、公式情報を… | |
| 6 | 長野地区の成り立ち ── 水田の広がりと旧集落の輪郭 | 沿革/記憶 | 南部・長野地区(水田の広がる低地)の成り立ち・旧集落の輪郭・地名を、微高地立地と… | |
| 7 | 天竜地区の成り立ち ── 川と低地がつくった暮らしの記憶 | 沿革/暮らし/記憶 | 南部・天竜地区(天竜川左岸の低地)の成り立ち・集落群・地名・信仰を、自然堤防・後… | |
| 8 | 於保と長野を分けるもの、つなぐもの ── 水利・農地・集落の南部史 | 沿革/暮らし/記憶 | 於保と長野という南部低地の二地区を、於保=溜める・長野=流すという水の扱いの対比… | |
| 9 | 見付から福田・掛塚へ ── 南部の低地を渡った旧道の復元 | 交通/記憶 | 内陸の見付と沿岸の福田・掛塚の二湊を結んだ旧道が南部低地をどう渡ったかを、微高地… | |
| 10 | 磐田用水幹線改良事業 ── 戦時下の突貫工事と初通水の記録 | 暮らし/記憶 | 昭和期の磐田用水幹線改良事業を、取水難・戦時下の突貫工事・昭和19年(1944年… | |
| 11 | 南部地区の生い立ち ── 天竜川がつくった村、人が守った村 | 沿革/記憶 | 南部地区の生い立ちを、天竜川下流の低地・砂丘地と於保庄・長野村という旧村のまとま… | |
| 12 | 南部の成り立ち ── 天竜川下流の低地が編んだ地区の沿革 | 沿革/記憶 | 南部地区の成り立ちを、天竜川下流の低地に開けた旧村から近代の町村沿革・磐田市編入… | |
| 13 | 磐田の水と土地を総合する ── 用水・治水・新田がつくった平野 | 暮らし/記憶 | 磐田用水幹線改良・磐田用水東部土地改良区・天竜川の治水を扱った各論を横断し、水を… | |
| 14 | 今之浦川の舟の道 ── 見付と海を結んだ水の記憶 | 記憶 | 今之浦川はかつて見付の南まで海の水が入り込んでいた入り江の名残である。見性寺遺跡… | |
| 15 | 源平争乱と遠江 ── 頼朝の挙兵から遠江支配へ | 記憶 | 治承4年の頼朝挙兵から安田義定の遠江国司就任、鎌田御厨をめぐる争い、千手前伝承ま… | |
| 16 | 南部地区の生い立ち ── 天竜川がつくった村、人が守った村 | 沿革/記憶 | 天竜地区・於保地区・長野地区という三つの旧村の重なりから、南部地区の生い立ちを読… | |
| 17 | 南部の成り立ち ── 沿革年表・学校区・大字 | 沿革 | 南部地区の沿革年表・旧町村と大字の対応・現在の学校区と主な大字をまとめた資料ペー… | |
| 18 | 浜部遺跡・浜部古墳群 ── 砂地に築かれた、磐田市最南端の古墳と中世集落 | 記憶 | 磐田市南部から福田地区にかけて広がる浜部遺跡・浜部古墳群。市内で2例しかない砂地… | |
| 19 | 磐田市の閉鎖プールを読む - 市民プールから温水・防災インフラへ | 建物/暮らし/記憶 | 磐田市民プール、旧磐田グランドホテルのプール、学校プールや民間施設の閉鎖から、遊… | |
| 20 | 今之浦と大池の消滅・埋立て ── 生き残った調整池と、失われた旧河道 | 記憶 | 大池は今も現存し湛水対策の調整池として使われている。埋め立てられたのは旧今之浦川… | |
| 21 | 今之浦が磐田の都市形成に与えた影響 ── 低地の空白が、新しい市街地に変わるまで | 記憶 | 見付・中泉という台地上の中心地に挟まれ長く空白だった今之浦の低地。1966年から… | |
| 22 | 見付から福田・掛塚方面へ向かう旧道 ── 南部の低地を渡る道 | 交通/記憶 | 内陸の見付と、沿岸の福田・掛塚を結んだ道を、南部の低地地形から考える。微高地づた… | |
| 23 | 西貝塚・明ヶ島・大原周辺の遺跡群 ── 磐田原台地南東縁の考古学的景観 | 記憶 | 縄文の貝塚群・西貝塚を中心に、磐田原台地南東縁に広がる遺跡群を俯瞰する。城之崎遺… | |
| 24 | 天竜川の地形と歴史 ── 平地の生い立ちと川筋の移りかわり | 沿革/記憶 | 天竜川平地の地形・地質と生い立ち、江戸期以降の川筋の西遷、金原明善らの治水事業ま… | |
| 25 | 天竜地区総論 ── 川と低地がつくった暮らしの記憶 | 沿革/社寺/記憶 | 天竜川の恵みとリスクのあいだで続いてきた集落を、低地・水利・旧道・寺社から読む総… | |
| 26 | 川の恵みと怖さ ── 天竜地区に残る水辺の生活史 | 沿革/暮らし/記憶 | 旧河道・自然堤防・後背湿地と治水、農地・水路・橋の動線から、水辺の生活史と将来課… | |
| 27 | 於保地区総論 ── 大池・低地・農地が支えた南の集落 | 沿革/記憶 | 水を得ること、逃がすこと、田を守ること。水と農地の関係から於保の集落形成を読む総… | |
| 28 | 長野地区総論 ── 水田の広がりと旧集落の輪郭を読む | 沿革/社寺/記憶 | 長野・小島・前野・鮫島・白拍子など、水田のなかに点在する旧集落を水利と農地から読… | |
| 29 | 於保と長野を分けるもの、つなぐもの ── 水利・農地・集落の南部史 | 沿革/記憶 | 南部低地の集落を、水利・農地・共同体・将来課題から横断的に比較する。衰退ではなく… | |
| 30 | 鰐口 ── 大島の低地に伝わる金属の響きから、南北朝期の信仰と水辺の集落を読む | 社寺/記憶 | 県指定・工芸。大島に伝わる文化財を、公式指定情報と南部地区の地域史から読み直す。 | |
| 31 | 八王子神社米とぎまつり ── 米をとぐ所作から、南部低地の稲作儀礼と集落の祈りを読む | 祭り/暮らし | 市指定・無形民俗文化財。下太に伝わる行事を、公式指定情報と南部地区の地域史から読… | |
| 32 | 映画『お別れの歌』と磐田の風景 | 記憶 | 磐田市内で撮影された映画『お別れの歌』を、今の磐田が映像として残された文化的出来… | |
| 33 | 豊島・北島 ── 天竜川の氾濫原に開かれた川辺の開拓地と水害防除の知恵 | 記憶 | 天竜川下流の東岸に位置する豊島(とよしま)と北島(きたじま)の開拓史と水害防除の… | |
| 34 | 千手堂・万正寺 ── 寺院名が語る中世の信仰空間と消えた伽藍の謎 | 社寺 | 磐田市南部地区にある千手堂(せんじゅどう)と万正寺(まんしょうじ)の歴史を解説。… | |
| 35 | 上大之郷・下大之郷 ── 古代大郷の記憶と庄園開発の歴史 | 記憶 | 磐田市南部地区の「上大之郷」「下大之郷」の歴史を紐解く。律令制下の古代「大郷(お… | |
| 36 | 上岡田・下岡田 ── 砂丘と湿地を拓いた開墾の軌跡と岡田の神々 | 記憶 | 磐田市南部地区の「上岡田」「下岡田」の歴史を解説。天竜川がもたらした砂質土壌や湿… | |
| 37 | 鮫島・小島 ── 遠州灘の潮風を防ぐ防風林と砂丘地の過酷な開拓史 | 記憶 | 磐田市最南部に位置する「鮫島」「小島」の歴史を解説。遠州灘から吹き荒れる強風と飛… | |
| 38 | 野箱・白拍子 ── 中世の芸能者白拍子の足跡と地域に息づく伝承 | 記憶 | 磐田市南部地区にある「野箱」「白拍子」という非常にユニークな地名の歴史と伝承を紐… | |
| 39 | 浜部 ── 遠州灘の塩害に抗い塩を産み出した塩田と沿岸漁業の記憶 | 暮らし | 磐田市南部地区の「浜部(はまべ)」の歴史を解説。かつて遠州灘に面した砂浜と砂丘地… | |
| 40 | 新島・長須賀 ── 天竜川がもたらした砂州の変遷と新田開発の軌跡 | 記憶 | 磐田市南部地区にある「新島」「長須賀」の歴史を解き明かします。暴れ天竜と呼ばれる… | |
| 41 | 刑部島 ── 古代刑部部と天竜川の中州に挑んだ開拓者たちの闘い | 記憶 | 磐田市南部地区の「刑部島(おさかじま)」の歴史を深掘りします。古墳〜古代律令期に… | |
| 42 | 長野村 ── 南部町村合併が描いた生活圏の移り変わりと近代化の歩み | 沿革 | 磐田市南部地区にかつて存在した「長野村(ながのむら)」の歴史を振り返ります。明治… | |
| 43 | 於保村 ── 於保庄の栄華から昭和の分村編入、福田町との分割合併史 | 沿革 | 磐田市南部平野の東部にかつて存在した「於保村(おほむら)」の波乱に満ちた歴史を詳… | |
| 44 | 磐田タイムトラベル地図 | 地図/社寺/祭り/交通/記憶 | 古墳、遠江国府、国分寺、見付宿、祭礼、湊、学校を固定SVG地図と時代別カードでた… | |
| 45 | 磐田郡という広がり ── 旧磐田市の外側にあった村々 | 沿革/記憶 | 古代の郡、明治の郡制、昭和の編入合併をつなぎ、旧磐田市の外側にあった村々を整理す… | |
| 46 | 古地図に村の名を探す ── 戸別明細図と旧高帳の読み合わせ | 地図/沿革/記憶 | 旧高帳、戸別明細図、現在の公図を読み合わせ、消えた村名や字名を調べる方法を整理す… | |
| 47 | 旧磐田市の成り立ち ── 村から町、町から市へ | 沿革/記憶 | 江戸期の村名、町村制、磐田町成立、市制施行、2005年合併までを地名の記憶として… | |
| 48 | 天竜川がつくった村、流した村 ── 池田・掛塚と渡しの記憶 | 沿革/交通/記憶 | 暴れ天竜、旧河道、池田の渡し、掛塚湊を通して、川がつくった村と流した村の記憶を読… |
どこから読むか迷ったら ── 時間の道しるべ
時代の流れに沿って読みたい方は、この順でどうぞ。
歩いて出会える記憶 ── 南部の主な文化財・史跡
読み物でたどった記憶の多くは、いまも町のあちこちに形として残っています。『ふるさと散歩』(磐田市教育委員会文化財課)ほかをもとに整理しました。指定内容は変更されることがあります。
| 名称 | 指定区分 | ひとこと | 磐田物語の記事 |
|---|---|---|---|
| 木造千手観音菩薩立像 | 等身大・40本手の古仏 | 南部に伝わる、等身大で四十本の手を持つ千手観音像。 | 調査予定 |
| 宝珠寺の枯山水庭園 | 中根金作作庭 | 昭和の作庭家・中根金作の手によると伝わる庭園。 | 調査予定 |
| 大宝院廃寺 | 遠江最古級の寺院跡 | 遠江でも古い時期にさかのぼるとされる寺院の跡。 | 調査予定 |
| 義民蓑笠碑 | 蓑笠騒動の顕彰碑 | 江戸期に起きた蓑笠騒動を今に伝える顕彰碑。 | 調査予定 |
| 竜門館の扁額 | 山岡鉄舟寄贈 | 幕末の剣客・山岡鉄舟が寄贈したと伝わる扁額。 | 調査予定 |
残り9件の文化財・史跡を見る
| 名称 | 指定区分 | ひとこと | 磐田物語の記事 |
|---|---|---|---|
| 薬師如来立像(長福寺) | 市指定 | 長福寺に伝わる薬師如来の立像。 | 調査予定 |
| 観音山古墳 | 円墳 | 南部地区に残る円墳のひとつ。 | 調査予定 |
| 浜部古墳群・浜部遺跡 | 砂堤上の遺跡群 | 市内2例のみの砂地上の古墳群。中世集落跡もあわせて発見。 | 記事を読む |
| 傾城塚(千手の墓と伝) | 石塔・伝承 | 千手の墓と伝わる石塔が残る伝承地。 | 調査予定 |
| 鰀島水道・仿僧川治水碑 | 治水遺産 | 南部低地の治水事業を伝える水路と碑。 | 調査予定 |
| 野口在色の墓(草崎) | 俳人の墓 | 草崎に眠る俳人・野口在色の墓所。 | 調査予定 |
| 一本松と手長様 | 貝塚・伝承地 | 貝塚の跡地に伝わる一本松と手長様の伝承。 | 調査予定 |
| 御殿・二之宮遺跡出土木簡(於保) | 古代史料 | 於保に及ぶ御殿・二之宮遺跡から出土した木簡。 | 調査予定 |
| 緑十字機不時着の碑(鮫島) | 戦争遺産 | 鮫島に残る、戦時中の不時着を伝える碑。 | 調査予定 |
「調査予定」の項目は、資料確認・現地確認ののち、順次読み物として公開します。この一覧は地区の記憶の目次を兼ねており、記事が増えるたびにリンクへ置き換わります。
南部の成り立ち ── 長野村ほかから磐田市へ
こうした記憶を生んだ南部という町が、行政のうえでどう歩んできたか。おおまかな流れは次のとおりです。
長野村ほか 明治22年(1889年) → 磐田市へ編入 昭和30年(1955年) → 新・磐田市 平成17年(2005年)
町村制で発足した長野村や、御厨村から分立した南御厨村の一部などが、昭和30年に磐田市へ編入。平成の大合併で現在の磐田市の一部となりました。沿革の年表、旧町村・大字の対応、現在の学校区と大字は、別ページで詳しく整理しています。
南部の記憶を、次の世代へ
この地区に関する古写真、古い地図、昔の屋号、商店、学校、祭り、建物、地名、言い伝えなどの情報を募集しています。確実な史料だけでなく、「昔こう聞いた」「この場所にこんな建物があった」という記憶も、地域を記録する大切な手がかりです。確実な史料と地域の記憶は分けて整理し、次の世代へ手渡していきます。
この土地・家の記憶を残したい方へ
南部をはじめ磐田市・袋井市で、相続した実家・空き家・土地建物のご相談を、地域で暮らし不動産に関わる立場から承っています。
作成方針・参考資料
作成方針
旧町村の沿革、現在の学校区、大字、生活圏を総合して分類する。断定できない情報は「要確認」「調査中」と明記する。地域の記憶は史実と分け、集合知として集めて随時更新する。
参考資料・出典
磐田市公式資料(地区別人口・通学区域ほか)/『御厨村』『磐田市』ほか沿革に関する公開資料/磐田市教育委員会文化財課『ふるさと散歩 南部編』/磐田市史・旧町村史・地域資料
古い地名や集落の成り立ちを調べていると、家や土地には、登記簿だけでは分からない地域の記憶が残っていることがあります。相続した家、空き家、使わなくなった土地について、「売る・貸す・残す」の前に、一度整理して考えたい方は、富士ヶ丘サービス株式会社までご相談ください。