SAGUCHI COLLECTION — CATALOG
佐口行正氏所蔵史料 目録
佐口行正氏について、そしてこの目録に込めた感謝。 佐口行正氏は、静岡県磐田市見付を中心に、地域の歴史・文化・暮らしの記憶を長年にわたり収集・研究されてきた郷土史研究家である。引札・浮世絵・古地図・鉄道案内・絵葉書・屋台祭礼写真など、この目録に並ぶ約340点の史料は、そのすべてが佐口氏個人の所蔵であり、しかも一朝一夕に集められたものではない。何十年という歳月をかけて、一枚一枚の紙片や写真を大切に守り、時には散逸しかけていたものを拾い上げ、手元に留めてこられた成果である。もし佐口氏という一人の郷土史研究家がこの土地にいなかったら、見付・中泉の商家が刷った引札も、明治から昭和にかけての絵葉書も、屋台祭礼の記録写真も、とうにこの世から失われていたかもしれない。
磐田物語がこの目録を公開できているのは、ひとえに佐口氏が、私財を投じて守り伝えてきたこれらの史料を、地域の共有財産として広く役立ててほしいという思いのもとに、快く掲載を許可してくださったからにほかならない。氏は、単に古い紙や写真を蒐集する収集家ではない。見付というまちがどのように栄え、人々がどのように暮らし、商い、祭り、学び、時代を重ねてきたのかを、次の世代へ手渡そうとする、地域の記憶の「番人」としての役割を、長きにわたり一人で担ってこられた方である。磐田市内で行われた企画展や文化財関連の展示でも、このコレクションの一部が紹介されてきたことは、その蓄積の価値が個人の趣味の域を超え、地域の歴史そのものを裏づける公共的な資料群として認められてきたことの証である。
この目録の一点一点をクリックし、拡大して眺めるとき、その奥には、紙片を残そうと決めた誰かの判断と、それを何十年も保管し続けた佐口氏の手間と時間が積み重なっている。磐田物語は、この史料群を検索・閲覧できる形に整理し、次の世代へつなぐ橋渡し役を務めることで、佐口氏がこれまで一人で背負ってこられた「地域の記憶を残す」という重荷を、わずかながらでも分かち合いたいと考えている。あらためて、佐口行正氏のこれまでのご尽力と、この場での公開を許してくださったご厚意に、心より感謝を申し上げたい。
この目録が扱う史料は、引札・浮世絵・銅印・絵葉書・絵馬・屋台祭礼写真・地図絵図・鉄道交通・名所観光案内・道中講社・商家地域資料・記念行事といった、実に幅広い種別にわたっている。一枚の引札からは、明治期の見付・中泉の商家がどのような品を扱い、どのような文言で客を呼び込んでいたのかが読み取れる。一枚の絵葉書からは、当時の町並みや交通手段、人々の装いまでもがうかがえる。屋台祭礼の写真は、見付天神裸祭をはじめとする地域の祭礼が、世代を超えてどのように受け継がれてきたかを物語る、動かぬ証拠でもある。こうした多岐にわたる史料を、種別だけでなく年代・発行者・シリーズ・場所やテーマといった複数の切り口で検索・絞り込みできるようにしたのも、佐口氏が長年かけて丹念に整理してこられた「佐口行正氏所蔵史料一覧」という土台があったからこそである。この目録は、いわば佐口氏の長年の仕事の上に、磐田物語が検索性という新しい機能を重ねたものにすぎない。中心にあるのは、あくまで佐口氏ご自身が積み上げてこられた、地域への深い愛情と、地道な保存の営みそのものである。
該当する史料が見つからなかった。別のことばで探してみてほしい。
目録について。
商屋名・発行者・年代・寸法は「佐口行正氏所蔵史料一覧」(2011年作成)に基づく。「〇」は原資料の判読不能箇所を示す。中綴じ・複数枚で構成される史料は代表の一枚を掲載している。絵葉書・絵馬・屋台祭礼写真(資料②)の年代・寸法は判明分のみ記載。出典・所蔵:佐口行正氏。掲載許可済み。