失われる前に、磐田の記憶を記録し、次の世代へ手渡す
磐田物語 地区別入口ページ

南部地区

よみがな:なんぶ / 磐田物語 地区分類番号 01005

天竜川下流の平野に開けた、海寄りの暮らし・農地・集落・交通が重なる地区。豊島・鮫島・岡田・長須賀など、川がつくり、川が流した土地の記憶を伝えます。

南部地区の平野・集落・天竜川下流の水辺の記憶を表した模式図
南部地区の記憶をたどる入口図 ── 天竜川下流の水辺、平野の田園、集落の重なりを表した模式図です(地理を正確に示す地図ではありません)。
この地区分類は、現在の行政区分をそのまま写したものではありません。旧町村の沿革、学校区、大字、生活圏、地域の記憶をもとにした、磐田物語独自の分類です。内容は今後の資料確認により随時更新します。

南部は、天竜川がつくった低地と、遠州灘に近い砂丘地が広がる町です。長野村や南御厨村の一部など、天竜川下流域の旧村が昭和30年に磐田市へ編入されてできた区域で、伝僧川の治水や宝珠寺の枯山水庭園、蓑笠騒動を伝える義民蓑笠碑など、川と人が向き合ってきた記憶が残ります。豊島・北島・千手堂・鮫島・浜部・新島・長須賀といった「島」のつく地名が、水とともにある土地の性格を物語ります。このページは、その南部の記憶をたどるための入口です。まずは三つの扉から、どうぞ。

はじめて南部を読む方へ ── 三つの入口

土地の記憶
天竜川がつくった村、流した村

池田・掛塚と渡しの記憶。天竜川の河道の移り変わりが村にもたらした歴史を読み解く。

土地の記憶
浜部

遠州灘の塩害に抗い塩を産み出した塩田開発と、生活を支えた沿岸漁業の歩み。

町村沿革
長野村

多様な個性を持つ11の集落が一つにまとまった長野村。学校や産業組合を通じた近代化の軌跡。

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南部地区の記事一覧
No.タイトルテーマ概要公開日
1龍門館と山岡鉄舟 ── 長野小学校に伝わった扁額を読む学校長野地区の学校に『龍門館』と書かれた扁額が伝わったという。山岡鉄舟の名声、黄河の…
2今之浦用排水組合から悪水組合へ――低湿地を管理した明治の制度沿革/暮らし明治24年の用排水組合規約から明治45年の悪水組合設置まで、低湿地を共同管理した…
3今之浦地区の成立前史――今之浦新田・田久保村請所・西瀬新田沿革/記憶今之浦地区成立以前の今之浦新田・田久保村請所・西瀬新田を、近世検地、明治9年編入…
4観音山古墳――天竜の墓地に残る円墳を読む記憶天竜の墓地に残る観音山古墳を、昭和期の確認記録、墳丘規模、出土土器、復元と史料上…
5草崎・前野――低地の二村を地域資料から読む沿革/記憶旧草崎村と旧前野村を、近代沿革、古記録、寺社・廃寺、水路と土地調査の課題から比較…
6新島の中泉代官所門――移築文化財と子安地蔵の記憶建物新島に残る旧中泉代官所門を、代官所設置、民家への移築、文化財指定、道路拡張後の再…
7下岡田の義民碑――大池事件を地域はどう記憶したか沿革/記憶下岡田の義民碑を、地域資料が記す大池事件の回顧、碑の建立、顕彰語としての義民とい…
8天竜の諏訪神社――旧村社・合祀・渡船場の記録を読む沿革/記憶天竜の諏訪神社を、旧村社、若宮社等の合祀、天竜川渡船場の地域記録から読み、社伝と…
9長須賀と池田庄立券文書――中世文書に現れる村名を読む沿革/記憶長須賀の町内資料が池田庄立券文書を村名の古い確認例として参照する意味を読み、荘域…
10天竜地区 小字・地名資料――天竜川左岸の土地を読む索引沿革/記憶『町内の風土記』に記録された天竜地区の成立と天竜・豊島・北島・千手堂・万正寺・中…
11於保地区の小字・地名資料――大原・下大之郷・浜部・大和田沿革/記憶大原・下大之郷・浜部・大和田の判読可能な小字を、掲載範囲と未校訂事項を明示して土…
12長野地区の小字・地名資料――鮫島・野箱・草崎・前野・新島・長須賀沿革/記憶長野地区の判読可能な小字を、大字ごとの項目境界と未校訂事項を明示して土地調査の索…
13天竜川がつくった村、流した村 ── 池田・掛塚と渡しの記憶沿革/交通/記憶天竜川下流の氾濫が村落を生み・流し・移動させた歴史を、渡河・水運・開発の三類型と…
14川の恵みと怖さ ── 天竜地区の水辺の生活史沿革/暮らし/記憶天竜地区(南部低地)の水辺の生活史を、旧河道・自然堤防・後背湿地の地形単位から再…
15於保と大池 ── 南部低地の水と村沿革/暮らし/記憶南部の於保地区と大池を手がかりに、低地・農地・水がつくった南の集落の成立・生業を…
16大島の鰐口 ── 南北朝期の信仰と水辺の集落沿革/社寺/記憶大島の低地に伝わる南北朝期の鰐口(県指定)を手がかりに、中世の信仰と水辺の集落を…
17八王子神社の米とぎまつり ── 南部低地の稲作儀礼社寺/祭り/暮らし八王子神社の米とぎまつり(米をとぐ所作の祭礼)と南部低地の稲作儀礼を、公式情報を…
18長野地区の成り立ち ── 水田の広がりと旧集落の輪郭沿革/記憶南部・長野地区(水田の広がる低地)の成り立ち・旧集落の輪郭・地名を、微高地立地と…
19天竜地区の成り立ち ── 川と低地がつくった暮らしの記憶沿革/暮らし/記憶南部・天竜地区(天竜川左岸の低地)の成り立ち・集落群・地名・信仰を、自然堤防・後…
20於保と長野を分けるもの、つなぐもの ── 水利・農地・集落の南部史沿革/暮らし/記憶於保と長野という南部低地の二地区を、於保=溜める・長野=流すという水の扱いの対比…
21見付から福田・掛塚へ ── 南部の低地を渡った旧道の復元交通/記憶内陸の見付と沿岸の福田・掛塚の二湊を結んだ旧道が南部低地をどう渡ったかを、微高地…
22磐田用水幹線改良事業 ── 戦時下の突貫工事と初通水の記録暮らし/記憶昭和期の磐田用水幹線改良事業を、取水難・戦時下の突貫工事・昭和19年(1944年…
23南部地区の生い立ち ── 天竜川がつくった村、人が守った村沿革/記憶南部地区の生い立ちを、天竜川下流の低地・砂丘地と於保庄・長野村という旧村のまとま…
24南部の成り立ち ── 天竜川下流の低地が編んだ地区の沿革沿革/記憶南部地区の成り立ちを、天竜川下流の低地に開けた旧村から近代の町村沿革・磐田市編入…
25磐田の水と土地を総合する ── 用水・治水・新田がつくった平野暮らし/記憶磐田用水幹線改良・磐田用水東部土地改良区・天竜川の治水を扱った各論を横断し、水を…
26今之浦川の舟の道 ── 見付と海を結んだ水の記憶記憶今之浦川はかつて見付の南まで海の水が入り込んでいた入り江の名残である。見性寺遺跡…
27源平争乱と遠江 ── 頼朝の挙兵から遠江支配へ記憶治承4年の頼朝挙兵から安田義定の遠江国司就任、鎌田御厨をめぐる争い、千手前伝承ま…
28南部地区の生い立ち ── 天竜川がつくった村、人が守った村沿革/記憶天竜地区・於保地区・長野地区という三つの旧村の重なりから、南部地区の生い立ちを読…
29南部の成り立ち ── 沿革年表・学校区・大字沿革南部地区の沿革年表・旧町村と大字の対応・現在の学校区と主な大字をまとめた資料ペー…
30浜部遺跡・浜部古墳群 ── 砂地に築かれた、磐田市最南端の古墳と中世集落記憶磐田市南部から福田地区にかけて広がる浜部遺跡・浜部古墳群。市内で2例しかない砂地…
31磐田市の閉鎖プールを読む - 市民プールから温水・防災インフラへ建物/暮らし/記憶磐田市民プール、旧磐田グランドホテルのプール、学校プールや民間施設の閉鎖から、遊…
32今之浦と大池の消滅・埋立て ── 生き残った調整池と、失われた旧河道記憶大池は今も現存し湛水対策の調整池として使われている。埋め立てられたのは旧今之浦川…
33今之浦一~五丁目――低湿地から新市街地への変化記憶今之浦一丁目から五丁目が、低湿地・水田から排水、河川改良、土地区画整理を経て新市…
34見付から福田・掛塚方面へ向かう旧道 ── 南部の低地を渡る道交通/記憶内陸の見付と、沿岸の福田・掛塚を結んだ道を、南部の低地地形から考える。微高地づた…
35西貝塚・明ヶ島・大原周辺の遺跡群 ── 磐田原台地南東縁の考古学的景観記憶縄文の貝塚群・西貝塚を中心に、磐田原台地南東縁に広がる遺跡群を俯瞰する。城之崎遺…
36天竜川の地形と歴史 ── 平地の生い立ちと川筋の移りかわり沿革/記憶天竜川平地の地形・地質と生い立ち、江戸期以降の川筋の西遷、金原明善らの治水事業ま…
37天竜地区総論 ── 川と低地がつくった暮らしの記憶沿革/社寺/記憶天竜川の恵みとリスクのあいだで続いてきた集落を、低地・水利・旧道・寺社から読む総…
38川の恵みと怖さ ── 天竜地区に残る水辺の生活史沿革/暮らし/記憶旧河道・自然堤防・後背湿地と治水、農地・水路・橋の動線から、水辺の生活史と将来課…
39於保地区総論 ── 大池・低地・農地が支えた南の集落沿革/記憶水を得ること、逃がすこと、田を守ること。水と農地の関係から於保の集落形成を読む総…
40長野地区総論 ── 水田の広がりと旧集落の輪郭を読む沿革/社寺/記憶長野・小島・前野・鮫島・白拍子など、水田のなかに点在する旧集落を水利と農地から読…
41於保と長野を分けるもの、つなぐもの ── 水利・農地・集落の南部史沿革/記憶南部低地の集落を、水利・農地・共同体・将来課題から横断的に比較する。衰退ではなく…
42鰐口 ── 大島の低地に伝わる金属の響きから、南北朝期の信仰と水辺の集落を読む社寺/記憶県指定・工芸。大島に伝わる文化財を、公式指定情報と南部地区の地域史から読み直す。
43八王子神社米とぎまつり ── 米をとぐ所作から、南部低地の稲作儀礼と集落の祈りを読む祭り/暮らし市指定・無形民俗文化財。下太に伝わる行事を、公式指定情報と南部地区の地域史から読…
44映画『お別れの歌』と磐田の風景記憶磐田市内で撮影された映画『お別れの歌』を、今の磐田が映像として残された文化的出来…
45豊島・北島――二つの旧村名と寺社・暮らしの記録記憶豊島と北島を、旧村の合併、戸数・人口、寺社、辻地蔵などの地域資料から読み直し、氾…
46千手堂・万正寺――寺院名を残す二つの旧村を読む社寺千手堂と万正寺を、旧村沿革、六地蔵、八王子神社、元法輪寺などの地域記録から読み、…
47上大之郷・下大之郷――同じ地名を二地区の記録から読む記憶上大之郷と下大之郷を、天竜地区・於保地区それぞれの旧村記録から比較し、古代の一つ…
48上岡田・下岡田――旧村沿革と義民碑・寺社の記録記憶上岡田・下岡田を、旧村沿革、寺社、学校・公民館、下岡田の義民碑から読み、砂丘開墾…
49鮫島・小島――漁業・寺社・旧村沿革を地域資料から読む記憶鮫島と小島を、旧村沿革、沿岸漁業、寺社、学校の地域記録から読み、砂丘開拓と防風林…
50野箱・白拍子――地名伝承と石塔・墓の記憶を読み分ける記憶野箱と白拍子を、千手供養塔、傾城塚、寺社、旧村沿革から読み、伝承を中世芸能者の史…
南部地区の関係図 天竜川低地、旧村、水田、寺社の関係を左から右へ示す図 南部地区の関係図 天竜川低地旧村水田寺社
図:本文の要点を比較・時系列で整理した独自模式図。位置や年代の縮尺を示すものではない。

どこから読むか迷ったら ── 時間の道しるべ

時代の流れに沿って読みたい方は、この順でどうぞ。

近代の村長野村於保村

歩いて出会える記憶 ── 南部の主な文化財・史跡

読み物でたどった記憶の多くは、いまも町のあちこちに形として残っています。『ふるさと散歩』(磐田市教育委員会文化財課)ほかをもとに整理しました。指定内容は変更されることがあります。

南部を代表する文化財・史跡(5件)
名称指定区分ひとこと磐田物語の記事
木造千手観音菩薩立像等身大・40本手の古仏南部に伝わる、等身大で四十本の手を持つ千手観音像。調査予定
宝珠寺の枯山水庭園中根金作作庭昭和の作庭家・中根金作の手によると伝わる庭園。調査予定
大宝院廃寺遠江最古級の寺院跡遠江でも古い時期にさかのぼるとされる寺院の跡。調査予定
義民蓑笠碑蓑笠騒動の顕彰碑江戸期に起きた蓑笠騒動を今に伝える顕彰碑。調査予定
竜門館の扁額山岡鉄舟寄贈幕末の剣客・山岡鉄舟が寄贈したと伝わる扁額。調査予定
残り9件の文化財・史跡を見る
名称指定区分ひとこと磐田物語の記事
薬師如来立像(長福寺)市指定長福寺に伝わる薬師如来の立像。調査予定
観音山古墳円墳南部地区に残る円墳のひとつ。調査予定
浜部古墳群・浜部遺跡砂堤上の遺跡群市内2例のみの砂地上の古墳群。中世集落跡もあわせて発見。記事を読む
傾城塚(千手の墓と伝)石塔・伝承千手の墓と伝わる石塔が残る伝承地。調査予定
鰀島水道・仿僧川治水碑治水遺産南部低地の治水事業を伝える水路と碑。調査予定
野口在色の墓(草崎)俳人の墓草崎に眠る俳人・野口在色の墓所。調査予定
一本松と手長様貝塚・伝承地貝塚の跡地に伝わる一本松と手長様の伝承。調査予定
御殿・二之宮遺跡出土木簡(於保)古代史料於保に及ぶ御殿・二之宮遺跡から出土した木簡。調査予定
緑十字機不時着の碑(鮫島)戦争遺産鮫島に残る、戦時中の不時着を伝える碑。調査予定

「調査予定」の項目は、資料確認・現地確認ののち、順次読み物として公開します。この一覧は地区の記憶の目次を兼ねており、記事が増えるたびにリンクへ置き換わります。

南部地区を読む流れ 河道の変化、村の成立、農地と水利、現在の地域の関係を左から右へ示す図 南部地区を読む流れ 河道の変化村の成立農地と水利現在の地域
図:本文の要点を比較・時系列で整理した独自模式図。位置や年代の縮尺を示すものではない。

南部の成り立ち ── 長野村ほかから磐田市へ

こうした記憶を生んだ南部という町が、行政のうえでどう歩んできたか。おおまかな流れは次のとおりです。

長野村ほか 明治22年(1889年) → 磐田市へ編入 昭和30年(1955年) → 新・磐田市 平成17年(2005年)

町村制で発足した長野村や、御厨村から分立した南御厨村の一部などが、昭和30年に磐田市へ編入。平成の大合併で現在の磐田市の一部となりました。沿革の年表、旧町村・大字の対応、現在の学校区と大字は、別ページで詳しく整理しています。

南部の成り立ちを詳しく ── 沿革年表・学校区・大字

南部の記憶を、次の世代へ

この地区に関する古写真、古い地図、昔の屋号、商店、学校、祭り、建物、地名、言い伝えなどの情報を募集しています。確実な史料だけでなく、「昔こう聞いた」「この場所にこんな建物があった」という記憶も、地域を記録する大切な手がかりです。確実な史料と地域の記憶は分けて整理し、次の世代へ手渡していきます。

この土地・家の記憶を残したい方へ

南部をはじめ磐田市・袋井市で、相続した実家・空き家・土地建物のご相談を、地域で暮らし不動産に関わる立場から承っています。

作成方針・参考資料

作成方針

旧町村の沿革、現在の学校区、大字、生活圏を総合して分類する。断定できない情報は「要確認」「調査中」と明記する。地域の記憶は史実と分け、集合知として集めて随時更新する。

参考資料・出典

磐田市公式資料(地区別人口・通学区域ほか)/『御厨村』『磐田市』ほか沿革に関する公開資料/磐田市教育委員会文化財課『ふるさと散歩 南部編』/磐田市史・旧町村史・地域資料

古い地名や集落の成り立ちを調べていると、家や土地には、登記簿だけでは分からない地域の記憶が残っていることがあります。相続した家、空き家、使わなくなった土地について、「売る・貸す・残す」の前に、一度整理して考えたい方は、富士ヶ丘サービス株式会社までご相談ください。