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磐田物語 / 豊田地区の道路整備
磐田共通 | 道路史・都市計画

豊田地区の道路整備 ──
スマートICが結ぶ産業の南北軸

東名高速道路や国道1号へのアクセスに恵まれた豊田地区は、磐田市の産業集積地としての性格を強めてきた。そのポテンシャルをさらに引き上げているのが、スマートICの改良と、地区を貫く幹線道路の拡幅である。

「豊田」という土地の交通上の位置

豊田地区(旧豊田町エリア)は、東名高速道路や国道1号へのアクセス性に優れた立地にあり、古くから物流・産業の要地としての性格を持ってきた。磐田物語の別稿で扱った磐田バイパスの4車線化・本線昇格も、豊田地区を通る区間を含んでおり、広域幹線道路の整備と地域の産業集積は、切り離せない関係にある。こうした広域道路網の恩恵を、地区内部の生活道路・工業道路へとつなぐ役割を担っているのが、以下に見る各路線の拡幅事業である。

遠州豊田スマートICという結節点

豊田地区のポテンシャルを近年さらに引き上げているのが、「遠州豊田スマートインターチェンジ」周辺の改良事業である。磐田市および遠州豊田PA周辺土地区画整理組合が主体となり、スマートIC接続道路の拡幅およびランプ線形の改良工事を実施することで、当初は限られた車種のみだった利用条件が緩和され、全車種の利用が可能になったと伝えられる。これにより、大型車両を含む物流の効率が大きく高まり、東名高速道路と地区内の産業道路とを直結する結節点としての機能が強化された。スマートICという比較的新しい仕組みは、フルインターチェンジを新設するよりも低コストで広域道路へのアクセスを実現できる手法であり、豊田地区のような既存の産業集積地にとって、追加の投資効果が大きい整備手法だったといえる。

確認できること・できないこと
遠州豊田スマートICの改良事業の主体・目的、高木大原線・宮本堀之内線の総延長・計画幅員は、公的な道路整備資料等で確認できる。一方、各事業の具体的な竣工年やスマートIC利用条件緩和の正確な時期については、今回のWeb調査の範囲では確認できていない。

地区を東西に貫く、高木大原線

豊田地区を東西に貫く都市計画道路「高木大原線」は、総延長約4,390メートルにおよぶ幹線道路である。前野地区・長須賀地区・豊島地区・北島地区といった、JR以南の複数の集落を東西につなぐ役割を担っており、幅員12.0〜18.0メートルへの拡幅が進められている。磐田南小学校周辺など、通学路としても利用される区間の拡幅は、産業道路としての機能強化だけでなく、地域住民の生活の安全性向上という側面もあわせ持っている。

南北をつなぐ、宮本堀之内線

東西軸の高木大原線に対し、南北軸の強化を担うのが「宮本堀之内線」である。総延長約3,820メートルのこの路線は、国道150号バイパスと静岡県道豊田竜洋線とを結ぶ役割を担い、幅員14.0〜16.0メートルへの拡幅整備が進められている。国道150号バイパスは磐南IIバイパスともつながる沿岸方面の幹線であり、宮本堀之内線が整備されることで、内陸の豊田地区と沿岸部の産業地帯とを結ぶ、南北方向のネットワークが強化されることになる。

スマートICという仕組みの意味

スマートICとは、ETC(電子料金収受システム)を搭載した車両に限って乗り降りができる、簡易な構造のインターチェンジを指す。従来型のフルインターチェンジのように、料金所や複数車線の分合流施設を大がかりに整備する必要がないため、建設費用を抑えつつ、既存の高速道路に新たな出入口を設けることができる。全国的にも、地方の産業団地や観光地の近くに、こうしたスマートICが数多く設置されてきた経緯がある。遠州豊田スマートICも、この全国的な流れのなかに位置づけられる整備であり、豊田地区という既存の産業集積地に対して、追加の大規模インフラ投資をせずとも高速道路網へのアクセスを直接得られる、費用対効果の高い選択だったと考えられる。

インターチェンジを核とした、グリッド状の道路網

遠州豊田スマートIC、東西軸の高木大原線、南北軸の宮本堀之内線――これらを重ねてみると、豊田地区にはインターチェンジを核とした、格子状(グリッド状)の道路網が形づくられつつあることがわかる。一本の幹線道路だけに交通を集中させるのではなく、東西・南北それぞれの軸を整備することで、地区内のどこからでも広域道路へアクセスしやすい、分散型の交通体系を目指しているといえる。産業集積地としての豊田の強みは、こうした地道な道路の網の目づくりによって、日々更新され続けているのである。

産業道路の拡幅がもたらす、通学路の安全

高木大原線の拡幅区間には、磐田南小学校の周辺が含まれている。産業道路としての機能強化と、子どもたちの通学路としての安全確保は、一見すると別の目的のように思えるが、実際には同じ道路の幅員拡幅によって同時に達成されうるものである。大型車両がすれ違うために必要な車道の幅と、歩行者・自転車が安全に通行するための歩道の幅を、あわせて確保する設計思想は、産業集積地における道路整備が単なる物流効率化にとどまらず、そこで暮らす住民の生活の質にも直結していることを示している。宮本堀之内線・高木大原線のような幹線道路の拡幅が、地域の産業と生活の両方を支える二重の役割を担っている点は、豊田地区の道路整備を理解するうえで見落とせない視点である。

遠州豊田スマートIC接続道路拡幅・ランプ線形改良により全車種利用が可能に
高木大原線総延長約4,390m。前野・長須賀・豊島・北島地区を東西に結ぶ。幅員12.0〜18.0m
宮本堀之内線総延長約3,820m。国道150号バイパスと県道豊田竜洋線を結ぶ。幅員14.0〜16.0m
全体像インターチェンジを核としたグリッド状の道路網形成

主な参考資料

本記事は、上記資料を参考にしつつ、磐田物語の編集方針に基づいて独自に再構成したものである。各事業の具体的な竣工年等は今回のWeb調査では確認できておらず、本文中で確認できた点とできない点を区別して記している。

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この記事について

著者
大石浩之(富士ヶ丘サービス株式会社 代表取締役/磐田物語 運営者)
参考資料
佐口行正氏所蔵資料、磐田市・静岡県等の公開資料、現地確認、郷土史関連資料を参考にしています。記事ごとに主要な参考資料がある場合は、個別に追記してください。
作成方針
本記事は、資料の文章をそのまま転載するのではなく、史実・地名・地理・時代背景を確認しながら、読みやすい地域史コンテンツとして再構成しています。誤りや補足情報がある場合は、運営者までお知らせください。