地域の記憶を、次の世代へ手渡す

中泉地区 古代・国府と荘園

府八幡宮例大祭

府八幡宮

国府の社に、二十町の山車が集う

中泉10月第1土・日曜(前夜祭を含む3日間)20台の山車命魚奉献の儀

府八幡宮例大祭は、中泉の各町から二十台の山車が集まり、府八幡宮の神事とともに町を動かす祭りである。社伝では、遠江国司の桜井王が国府守護の神として八幡神を勧請したと伝わる。祭りの中では、浜垢離、前夜祭、例祭、夕祭、発御祭、命魚奉献の儀、還御祭、御幣返しが連なり、国府の記憶と町衆の自治が一つの流れとして現れる。

確かなこと

  • 府八幡宮は、遠江国府の守護神として勧請されたと伝わる古社である。
  • 祭礼は10月第1土曜・日曜を中心に、前夜祭を含む三日間で行われる。
  • 中泉地区の二十町が山車を曳き、年番・地番・渡しなどの町内運営が祭りを支える。
  • 楼門は寛永12年(1635)建立とされ、静岡県指定文化財である。

伝承として扱うこと

  • 桜井王の創建は社伝として扱う。考古学的事実と同列に断定するものではない。
  • 国府が社地内にあった、あるいは移ったという話は、地域に伝わる国府記憶として読む。
  • 命魚奉献の儀が古代国司祭祀を思わせる点は、祭礼の構造からの推察として示す。

祭りの三日間をたどる

一週間前
浜垢離

遠州灘で身を清め、清め砂を持ち帰る。神幸路を後ろ向きに掃き清める所作は、祭礼空間が海辺まで広がることを示す。神事を詳しく読む

前夜祭
抽選祭

宮入り順を抽選で決め、各町へ大榊と御幣が授与される。二十町へ祭礼の役割が配られる段階である。

一日目 午前
例祭

本殿を中心に、神職と氏子総代が祭りの中心神事を行う。

一日目 夜
夕祭

提灯を落とした暗い境内で、神霊を神輿へ遷す。神事の核心として浄闇の空間がつくられる。

二日目 正午
発御祭

神輿が水堀地区へ出発する。町の山車運行と神輿渡御が結びつく。

二日目 直後
命魚奉献の儀

淡海國玉神社の宮司が生きた魚を献じ、御清水へ放つ。国府と総社の関係を思わせる儀礼である。命魚奉献を詳しく読む

二日目 夕方
還御祭

神輿が府八幡宮へ帰る。粟穂・茄子・稲穂・古代菓子など、古い供物儀礼の痕跡が見える。

二日目 夜
御幣返し

二十台の山車が境内に集まり、御幣を返す。提灯と囃子の熱気が祭りの結びとなる。山車と二十町を詳しく読む

二十町の山車とは

府八幡宮例大祭の山車は、中泉型二輪と四輪が混在する。二輪山車は前後に大きく揺らす動的な曳き回しを特徴とし、四輪山車は重厚な屋根や二層構造を備えるものが多い。各町には年番、地番、渡しなどの取り決めがあり、他町の山車が進入するときには、使者が会所へ出向いて経路や停止位置を調整する。

二十町の山車一覧と自治の仕組みを読む

いまに続く熱狂

明治・大正期の神事日記や学校日誌には、祭典による休校、山車の曳き回し、鉄道通過時の調整、奉納舞踊、山車の大型化、警察への届出などが記録される。府八幡宮例大祭は、古い神事であると同時に、近代の町が組織的に運営した大きな地域行事でもあった。

山車祭りの近代史を読む

この祭りをさらに深く読む

子特集 1神事の詳細八日間の潔斎と浄闇の遷座を、祭りの流れに沿って読む。子特集 2命魚奉献の儀国司が土地神に魚を献じるように見える特異な儀礼を整理する。子特集 3二十町の山車中泉型二輪と四輪、年番と渡し、町の自治を見る。子特集 4山車祭りの近代史神事日記・学校日誌が語る熱狂を追う。通史府八幡宮と遠江国府の記憶国府・国分寺・総社・祭礼をまとめて読む。総社淡海國玉神社命魚奉献の儀につながる総社の記憶を読む。地名国府台と府八幡宮「府」を名のる土地と国府所在地論を整理する。

同じ成り立ちの祭り ── 古代・国府と荘園

見付天神裸祭裸の群衆が、神を渡す夜鎌田神明宮大祭伊勢の御厨、神の降った地遠江国分寺まつり天平の国府を、いまに歩く
本特集は、祭礼の中身を読みやすく再構成したものである。事実、社伝・伝承、学術的な推察は本文中で区別して示した。出典表現は各子ページと関連通史ページに分散して整理している。

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